タイトルに偽りなしということで、二見 清一氏の(足立区中部福祉事務所)講演は、興味深いものであった。
欧米では、法律の文言は日常語に近いらしいが、日本では明治以来、庶民の言葉とはかけ離れた難解な言語によって法律が書かれ、それを官僚が悪用することによって「霞が関文学」なるものが成立してしまった。その結果、役人独特の言い回しや符牒から成る法文の本当の意味は、役人によってしか知ることができないという事態が生まれてしまったのだ。私は、国民の目を誤魔化すような法律は、その難解さゆえに無効にするといった法律を、早く作ってほしいと以前から思っていた。
それはともかく、今回講演して頂いた「社会保障制度改革推進法」もまさにその類のもので、いくら法文だけ見せられても、その本質がどこにあるのか、一般人には全く解しえないといった代物であった。それを二見氏がていねいに解読し、その正体を白日の下に晒してくれた。
例えば、同法冒頭にある「自助、共助及び公助の適切な組み合わせ」などという文言は、一見もっともらしいことを言っているように見えるが、要するに、社会保障の切り捨てということを言っているに他ならないと、二見氏は切って捨てる。野田総理の「社会保障と税の一体改革」では、消費税を上げる代わりに社会保障を充実させるということになっているが、実際には、逆進性の消費税を引き上げ、さらに社会保障まで抑制するといったことになるらしい。
消費税のダークサイドはこの一事にとどまらず、最近の漫才師の不正(?)受給で騒がれている生活保護の問題にまで話が及んだ。いやはや恐ろしい時代が迫りつつあるらしい。
(文責:小林英樹)